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原発性繊毛運動異常(PCD)

原発性繊毛運動異常 (Priamry Ciliary Dyskinesia; PCD)

別名:アイリッシュ・ウルフハウンド鼻炎

当サイトでは、犬の病気のなかで、とくにウルフハウンドについて注意しなくてはならないものをとりあげています。病気にかかった時の参考や病気の予防、早期の対応に役立てていただければと思います。
 
病気についての記述はあくまで典型的な症状や経過、治療について書いたものです。症状や経過には個体差があります。飼い主の自己判断は大変危険ですので、病気の兆候がみられたら、すぐに獣医師の診察を受けてください。


この疾患は何十年も前から知られていますが、以前はウイルスか免疫不全によるものと考えられていました。しかし近年になって、そのどちらでもなく、繊毛の運動異常が原因であることが分かりました。

正常な呼吸器(鼻や気管)の粘膜には繊毛と呼ばれる微細な毛が生えており、これらがエスカレーターのように動いてゴミや細菌、ウイルスなどの異物を排泄します。PCDにかかっている犬では、この繊毛の動きが悪化したり、あるいはまったく動かなくなりするために、重度の鼻炎や肺炎を起こすと考えられています。

PCDは遺伝性疾患であり、常染色体劣性遺伝であると考えられています。現時点ではPCDの遺伝子検査は出来ず、劣性遺伝であるため、症状のない両親から雄雌を問わず罹患犬が出る可能性があります。罹患した仔犬の血統は繁殖に使わないなどの注意が必要です。


<症状>

すでに出生時に子犬に鼻汁が見られることがあります。こういった仔犬は通常重度で、数週間以内に死亡します。時に出生後何ヶ月、あるいは何年も症状を出さない場合もありますが、症状の程度は非常に様々です。

最初は水様の鼻汁ですが、徐々に膿状から血様の排液となります。通常、この排液は誕生直後から認められ、短期間のうちに慢性化したり再発します。多くの犬は慢性の湿性の咳をし、典型的には肺炎により若いうちに死亡します。ほとんどの場合、1胎の一部だけが罹患し、残りの仔犬たちは一緒に飼われていても健康に過ごすことができます。


<治療>

治療の中心は抗生物質です。

罹患した犬のなかには、抗生物質を与え続けていないと肺炎に移行してしまう犬もいます。肺炎を起こした場合は、ネブライジングなどの対症療法が必要になる場合もあります(「急性肺炎」の項目を参照)。


【参考ウェブサイト】
・Irish Wolfhound Foundation: Wolfhound Rhinitis/ Primary Ciliary Dyskinesia