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肘腫


肘腫(elbow hygroma)


当サイトでは、犬の病気のなかで、とくにウルフハウンドについて注意しなくてはならないものをとりあげています。病気にかかった時の参考や病気の予防、早期の対応に役立てていただければと思います。
病気についての記述はあくまで典型的な症状や経過、治療について書いたものです。症状や経過には個体差があります。飼い主の自己判断は大変危険ですので、病気の兆候がみられたら、すぐに獣医師の診察を受けてください。



肘腫とは、その名のとおり肘にできる腫瘤(コブ)で、中に液体がたまる点がいわゆるタコとは異なります。体重の重い超大型犬に時々発生します。生後6ヵ月から18ヵ月頃の若い犬にできやすく、肘以外にも、飛節や腰骨(大腿骨の上端)、胸の下など、体重のかかる場所や慢性的にぶつかる部位ならどこにでもできる可能性があります。

痛みを伴うことが少ないため日常生活に支障はあまりありませんが、大きくなりすぎると破裂やケガおよび感染のおそれもあります。


<症状>

一番最初は、皮膚がすれて赤く炎症を起こすはずです。その場所で炎症や慢性刺激が続くとタコができ、さらにタコの中に血液や組織液がたまると肘腫になります。

肘腫は大きいものではソフトボール大になることもありますが、細菌感染を起こしたり、自分で齧って傷をつけたりしなければ、痛がることはありません。


<原因>

慢性的な刺激(衝突・圧迫)が原因とされています。極端な話、しょっちゅう頭をぶつけてしまうような環境で飼っていれば頭にできることもあります。


<治療>

若い犬の肘腫は、放っておいても数カ月のうちに自然に治ってしまうことが多いようです。肘腫であると確認できる場合、一般的には、何もせず自然に治るのを待つのがベストと言われています。

しかし、気になる場合、痛みや腫れがある場合は、病院で診察を受けてください。肘腫内の液体が多すぎる場合には、肘の液体を抜いてもらう必要があるかもしれません。

そのうえで患部への刺激を取り除くようにします。患部にぶ厚く包帯を巻いたりパッドを当てる、厚い敷物の上で寝かせるなどし、患部への刺激を和らげます。完全に治るまでには、かなり時間がかかります。

外科手術によって患部に穴を開け、中の液体を出しながら圧迫包帯をして、液が出た後の空洞部分が癒合するのを待つ、という方法もあります。しかし、長い間放置された肘腫や、肘腫の内側の壁が堅くなってしまったものは、非常に治りにくくなることが多いようです。


<予防策>

肘腫はいったんできてしまうと治るのに時間がかかるため、できれば未然に防ぎたいものです。

具体的な予防策としては、犬を飼い始めたときからベットやソファ、分厚い敷物などの上で寝かせるよう習慣付けてしまうことが一番有効ではないかと思います。

また、よく体の特定の部分をぶつける家具などがあれば、それを移動するかクッションになるものをとりつけて、ぶつかったときの衝撃を和らげます。